2016年1月31日日曜日

日本の祭りが有する価値

さてさて、前回の話の続き。

前回、地域のコンテンツ整備のハブの一つとして改めて見直すべきは「祭り」ではないか、という話をしました。そう考える理由とは何でしょうか?


祭りと言えば神社ですが、まずは、日本全国に神社がいくつあるかを考えてみましょう。

正解は、約8万です。都会を歩けば至る所にあるコンビニの数がおよそ5万4千。実は、神社の数は、コンビニの数よりはるかに多いのです。幼い頃、地元の氏神様によくお参りをしたという人も多いのではないでしょうか。日本には、その地域地域の住民を守る神様がいるのです。そして、それぞれにストーリーがあり、それぞれの祭りに謂れがあります。

そして、古よりその地の神を祀らう場である祭りは、住民の心を一つにしてきました。祭りが終わると地域に新たなつながりが生まれ、愛着もわきます。演じる人も見る人もハレ(祭り)の時間と空間を共有することで、活力を得ます。ハレの行事である祭りには、そんな力があるのです。


では、この祭りが、外の人間に対してどんな意味を持つのでしょうか?

実は祭りは、日本の伝統芸能の宝庫です。相撲に能、流鏑馬、さらに意外なところでは綱引き(綱曳)やくす玉(榎玉)も祭りがその起源と言われているそうです。神社と祭りが持つストーリー、そこに伝統芸能も絡めれば、観光客、特に欧米のインテリ層を惹きつけられると考えます。歴史や伝統文化に対する彼らの知的好奇心は、実に旺盛です。爆買いしている層とは、そもそもの関心が違います。実際に伝統芸能や文化を体験(参加)できる豊富な機会まで設ければ、きっと彼らをリピート客にできるのではないでしょうか。さらに、祭りの持つ不思議な力が、客ともてなす側という立場を超えた、強い絆を生み出すかもしれません。


しかし、祭りが及ぼす効果は、それには留まらないと考えます。が、それはまた次回。

ちなみに、日本の祭りについてより詳しく知りたい方は、こちらを一読されてみることをお薦めします。


日本の祭 (角川ソフィア文庫)
柳田 国男
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2016年1月24日日曜日

地方創生のコンテンツのハブ=祭り

懲りずに地方創生の話の続きです。

前回、「地方創生加速化交付金」の例や「ゆるキャラ」「アンテナショップ」の例をあげました。他にも、国からの補助金を「そこへの旅行代金の割引」や「その土地で利用できる商品券」に使う例も良く目にします。

が、これ、私が考えるに、お金の使い方の順番が逆ではないでしょうか?

その土地のコンテンツが既にしっかりと魅力的であれば、割引や商品券で一度そこに足を運んでもらうことに意味もあるとは思います。が、そこを訪れた人が「また来たい」と思えるようなコンテンツが、果たして整備されているのでしょうか?

概してコンテンツは、文化遺産とグルメ、そしてターゲットの不明確な箱もの(いわゆる博物館や多目的ホールなど)に頼っている例が多いように思います(あとは、最近はデザインに頼る例も多いですね)。しかし、例えば文化遺産といっても「見るだけ」のところが実に多いです。これでは、「また行きたい」とはなかなか思えません。

本来目的とすべきは、その土地に「継続的に」お金が落ちる流れを作ることなはずです。日本人であれ訪日外国人であれ、そこに連泊してもらい、再訪してもらう(あるいは、そこに移住してもらう)。それによって、お金を落としてもらう。さらに、多様な人が交わることによって、益々面白いものが生み出されていく。そうした好循環を作ることが必要なはずです。

そのためのコンテンツ整備では、もちろん文化遺産をフルに利用しましょう。その土地の歴史や伝統もフルに利用しましょう。しかし一方で、そこに新しいものをMIXし、少し尖ったストーリーを描き、訪れた人に様々な学びや体験をしてもらう必要があると考えます。そう考えるとやはり、これが出来るのは民間の力だと思います。以前にも書いたとおり、尖ったコンセプトもターゲットを絞ることも、行政には出来ません。何せ財源が税金ですから。行政には、コンパクトシティ化や住みやすい環境、インフラの整備に注力して頂き、一方で民間のやることを邪魔しないで頂ければ、それでよいのではないでしょうか。

そして個人的には、その際のコンテンツ整備の「ハブ」の一つとして、「祭り」が実に面白い素材だと考えています。祭りといっても、いわゆる歴史のないフェスティバルのことではありません、伝統的な神社などで行われている祭りのことです。その地方の活性化に取り組む住民にとっても、その土地の中小企業にとっても、訪れる観光客にとっても、「祭り」は大きな価値を提供できうると考えています。

ということで、そこんところは次回の話で。









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2016年1月17日日曜日

ゆるキャラとアンテナショップの効果って?

さてさて。中小企業と地方創生のお話。

特にサービス業の会社にとって、地元経済が沈むのは死活問題なはずです。
が、どうも多くの方々が、いまだに地方創生は行政の仕事だと思っています。

例えば、27年度の補正予算で、「地方創生加速化交付金」の枠が設定されました。この交付金(1,000億円)の流れは、国から地方自治体、です。まさに、地方創生=行政の仕事という発想に基づく仕組みです。

が、支援対象の条件を読んでみると、「これまでの類似事業の実績評価に基づいた事業設計」「外部有識者や議会の関与がある形で整備されたPDCAの仕組み」を求めらています。一方で、「先駆性」「新規性」も重要な条件だったりします。うーん、これって両立する条件なんでしょうか?正直、よく理解できません...。

そもそも多くの人が関与したうえで「いい」と言うことを条件としているようなものは、新しくもなんともないし、成功もしないと思います。

地方創生を実現させるためには、その地方ゆえの特性を加味した、独自の「世界初」の取組みが必要だと思います。どこかでうまくいった事例の焼き直しで成功できるほど甘いものではないのではないでしょうか?そう考えたときに、行政主導の「世界初」なんて、私はほとんど知りません。

また、別の視点から見てみましょう。行政が好きな「ゆるキャラ」と「アンテナショップ」。これ、地方創生にとって何の意味あるのか、私にはさっぱり分かりません。

そもそも東京で、地方の食材が食べれるのであれば、その地方にわざわざ行かないですよね?個人的にくまもんは好きですが、でもゆるキャラがいるという理由で、何度もその地方に行きますか?結局のところ、人がそこに足を運びお金を落とす、そしてそれが繰り返される仕組みを作らないと、意味がないのではないでしょうか?

やはり、行政に頼らず、そこの地元の人たちが自分ごとで始める活動からしか、地方創生は成功しないように思います。












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2016年1月9日土曜日

中小企業と地方創生

昨年は、社格の高い企業とは何ぞや、という話をしました。
そして、その点で注目している企業もいくつか紹介しました。
が、別に小難しいことばかりをここで書くつもりもありません。
そのときそのときで、気になることを徒然に綴ろうと思います。

で。中小企業の社格の話に暫し戻ると。

別に中小企業が、途上国の人権問題に貢献する必要もありません。
「欧州の難民問題に貢献します!」といっても現実的ではないでしょう。
じゃあ、中小企業が貢献すべきこととは。

いくつか考えられますが、一つの例は、やはり地方創生でしょう。
その地方が沈めば、そこにある企業も一緒に沈むからです。

「地方創生は行政の仕事だ!」と仰る方が多いですが、行政の力だけでは無理です。
行政の力だけでできるなら、既にこの問題は解決済のはずです。

かのポーターも、社会課題を解決するうえでは、企業の力が不可欠だと言っています。
行政やNPO/NGOに出来ることは、「価値の分配」に過ぎないからです。

「価値を創造」出来る主体は、企業です。
「価値の創造」と「価値の分配」がセットでないと、社会課題は解決できません。

そもそも行政がとる政策は税金を財源としているため、八方美人な策しかとれません。
これって要は、誰もターゲットにしていないということに等しいです。
マーケティングの常識で考えると、あり得ません。

やはりその地域を真の意味で活性化できるのは、そこの地元民と企業です。
地元民と企業が自分ごととして取り組まない限り、その地域は変われないと思います。












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