繰り返しになりますが、私が考えるそのためのステップは以下のとおりです。
① 社会に対する感度を高く保ち、自社が社会から求められるニーズを探る。
② 優先順位を付け、自社が貢献していくニーズを決定する。
③ ②に基づき、社会視点の会社としての大きなビジョンを掲げる。
④ ③に沿って一貫した行動を全社でとる。
⑤ ビジョン達成のために、積極的に社外との連携を進める。
⑥ 情報の開示、社会とのコミュニケーションを積極的にとる。
⑦ 以上のサイクルを定期的にまわす。変化するニーズに応じ、ビジョンも微修正する。
⑧ 可能であれば、モデルケースやルールまで作ってしまう。
前回、①から③のプロセスについて少し説明しました。もう少し書きます。
【① 社会に対する感度を高く保ち、自社が社会から求められるニーズを探る】
まず、世にある社会課題を広く捉えるとともに、自社に求められるニーズについて真摯に社会の声に耳を傾けます。社会課題については、国連などの国際機関や日本政府が纏めてくれているものがある(前回参照)ので、それらが参考になります。
そのうえで、自社に対する社会の声に耳を傾けるなら、地元住民と直接対話を交わす機会を設けるのは必須でしょう。他には、自社が注力すべき社会課題にある程度目星をつけたら、その分野の有識者と対話してみることも勧めます。例えば私がいま在籍している会社ではついこの前、「地方創生」「人権」「環境」に絞って、ベンチャー企業や非営利団体の方をお招きして話を伺いました。こちらが真摯に対応さえすれば、大変建設的で、かつ勉強になる意見を頂けます。
【② 優先順位を付け、自社が貢献していくニーズを決定する】
その次の優先順位を決めるステップでは、自社視点での冷静な分析が求められます。自社の本業の強みが活かせる課題なのかということはもちろん、その課題に係る潜在的な市場規模、将来的な自社の売上やコストに及ぼす影響まで、冷静に分析しておく必要があります。この分析に絶対的な解はありません。要は、解はその企業次第、ということです。
例えば、大企業とは違って中小企業であれば、「強み」にも不足があるでしょう。しかし、それが外部(他の中小企業や非営利団体等)と手を組むことによって補えるのであれば、問題にはなりません。むしろ、どんどん連携すべきだと思います。
市場規模も、大きければ良いというものではありません。大きすぎれば、将来的な大企業の参入余地も大きくなります。荒れた土地を一生懸命耕して、やっと作物が育つようになってきたところで、大資本に全てもっていかれてしまうようなものです。中小企業にとっては、逆に市場規模は大きすぎないほうがよいでしょう。
自社の売上やコストに及ぼす影響は、まさに各社のバリューチェーン次第です。但し、ここで注意すべきは、売上のupばかりを考えないことです。コストの削減も、社会課題の解決と無理なく結びつきます。例を挙げましょう。ある食品メーカーが、「先進国の肥満問題」という社会課題の解決への注力を選んだとします。その場合に考えられる手段の一つは、自社製品の糖質カットです。では、そうした場合の自社へのメリットは?そうです、原材料費の大幅な削減です。なにせ大量の砂糖が不要になるのですから。つまりは、売上とコストの両面で、頭を柔らかくして影響を分析してみる必要があるということです。
ちなみに、このステップに抵抗を示す企業も多いかと思います。「深刻な社会課題を目の前にして自社の利益を検討するとは何事か!」と。しかし、前回も書いたとおり、深刻な社会課題の解決には長い年月を要します。数年係ってハイ終わり、という活動こそ無責任の極みです。長い年月コミットしていくのであれば、活動の前提となる利益が必須となります。仙人ではないので、霞だけ食って活動する訳にはいきません。リアルな社会課題の解決には、リアルな利益に基づく活動が必要なのです。
【③ ②に基づき、社会視点の会社としての大きなビジョンを掲げる】
ここまでのプロセスを適切に経て設定した優先課題に基づくビジョンは、社会のニーズも捉えていることから、広く人々の共感を得て、多くのファンを生み出す可能性を持ちます。そうなれば、強力なブランドを構築し、高い利益率をもたらします。
一方ここでは、人々の意識に刷り込むべく、ある程度キャッチコピーの要素も必要だと思っています。以前にお伝えした株式会社美ら地球さんの「クールな田舎をプロデュースする」、石坂産業株式会社さんの「日本をよりよい循環社会に変えていく」、等々。大変覚えやすいです。長々と文章をつらね、結局何を言いたいのかよく分からないビジョンは実に多いです。一方で、短いけれど何を言いたいのか分からないコピーも世に溢れています。「要は何をやっていくのかをキャッチーに伝えていく」工夫がなされるべきです。
そして、このビジョンにしっかりと社会課題の視点が盛り込まれていれば、このあとのステップにも大きな効果を発揮します。そこらへんは、また次回。
社会課題解決の道のりは長〜いです |
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