2016年6月12日日曜日

押さえとく必要は特になし...「CSV(Creating Shared Value)」

突然ですが、CSVという言葉があります。

CSVと言っても、テキスト形式のファイルのことではありません。「Creating Shared Value」の略で、CSVとなります。

この言葉は、診断士なら誰もが知っている「5フォース分析」や「バリューチェーン」等、数々の競争手法戦略を提唱したマイケル・ポーター教授が、2006年のハーバードビジネスレビュー誌の論文で提唱した経営戦略のフレームワークです。「企業による経済利益活動と社会課題の解決を両立させる」ことを提唱しています。

ちなみに、診断士のバイブル「中小企業白書」にもCSVは出てきています。2014年版の第3部第5章第3節に「社会価値と企業価値の両立」とあります。ただ、何故か最終的に「CRSV(Creating and Realizing Shared Value)」という独自の言葉に置き換えられていますが...。中小企業庁のプライドでしょうか?

この言葉、国内の一部では、流行り言葉のようになっています。2015年1月号のハーバードビジネスレビューでも「CSV経営」が特集されました。

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が、本家のHarvard Business Reviewの1月号の特集は、もちろんCSVではありません(「The Problem With Authenticity」です)。そもそもCSVで騒いでいる国自体が、世界でも韓国と日本くらいではないか、と聞いたこともあります。それって何故でしょうか?

また一方で、私がここまでずっと提唱してきたのは、企業による「本業を通じた社会的価値と経済的価値の同時創造」です。

これってCSVのことでしょうか?

そうであって、そうではありません。基本的な考え方がほぼ同じであることは、そのとおりだと思います。しかし、ポーター教授は「CSVはCSRとは非なるもの」と主張されています。その点で、私の考え方とは違います。それに、本家のCSVのロジック自体、不明確だと個人的には思っています。

ポーター教授の提唱されているCSVのロジックは、つまりは「競争戦略のフレームワーク」です。一方で、この考え自体、別にポーター教授のオリジナルではありません(それ故、欧州などではそれほど注目も集めていません)。ネスレが元祖、と言われています(但し、彼らは「進化したCSR」と表現しています)。

個人的には、CSVという言葉にこだわりすぎることには益なし、と考えています。私の考える大切なもの、つまりは日本企業がDNAとして有する大切なもの、を見えなくさせてしまうのではないでしょうか?次回以降は、このCSVについて、私なりの解釈を書いていこうと思います。

大切なものが見えなくなります













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