CSVとは、
『企業がその本業を通じ、社会課題に貢献しながらしっかりと経済的利益も得て、社会価値と経済価値を共創する』
ことであり、
『自社を差別化して収益を最大化するための、競争のための経営戦略』
のことです。
さらに、CSVを実現するための手段(分類)としてポーター教授が提唱しているのが以下の3つです。
① 次世代の製品・サービスの創造
② バリューチェーン全体の生産性の改善
③ 地域生態系の構築
しかし、結局のところこれらを足すと「事業に係る全て」となるので、「これらにこだわる意味は、な〜んにも無いのでは?」という話をしました。
何よりもこのCSVの胆は、『利益の最大化を目的とした競争戦略』であり、『経営レベルの戦略』である、というところです。
一方で、日本企業の経営者の方は良くおっしゃいます。
『日本には、近江商人の「三方よし」の考え方が古くから根付いている』
『我が社は今も、社会の役に立つ製品を開発・販売している』
『CSVと言うけれど、今うちがやっていることが既にCSVだよ。ハッハッハ。』
http://biglife21.com/column/7915/ |
しかし、ポーター教授は、この理屈に真っ向から反論されているそうです。
『十分な経済価値(利益率)をあげている日本企業が、一体どれだけあるというのか?』
『社会価値は高くても経済価値が出せないのなら、それはCSRにすぎない』
『高い利益率を維持しながら社会に対してもインパクトのある貢献をすることは生易しいことではない。しかし、茨の道だからこそ、差別化された強みとなり、競争優位につながる』
あくまで『利益』であり『競争優位』なのです。そりゃそうですよね、M.ポーター教授はそもそも『競争戦略』の大家ですから。この軸をずらす訳にはいきません。
↑ 診断士の方なら(恐らく)読んだことがある高くて重い一冊。私も持っていますが、もう一度読んでみようとは思えません......。
では、ポーター教授の考える『利益率』とは具体的にはどのレベルでしょうか?彼はそれを「売上高営業利益率15%、ROE15%」と語っています。
例えばトヨタさんのROEは13.6%です。日本企業としては相当高いものの、15%には達していません。他にも、パナソニックさん10.95%、富士通さん6.30%、伊藤忠商事さん12.25%、三菱UFJフィナンシャル・グループ6.49%、アサヒグループホールディングス7.07%、セブン&アイ・ホールディングス4.94%、等々。15%のハードルを超えている企業はなかなか見当たりません。
しかし一方で、ROEは意図的に上昇させることもできます。例えば、自社株買いで自己資本を小さくすれば、ROEは高くなります。それに業態の事業特性によっても、当然ながら大きな差がつきます。ポーター教授も当然ながら、そんなことは百も承知のうえで言っているのだと思います。
では、何故彼が高い利益率にこだわるのか?長くなったので、そこは次回に。
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