2018年1月27日土曜日

日本企業を取り巻く「ビジネスと人権」の潮流

大っっっ変久しぶりでございます。
なんせ、直前の更新が1年以上前ですから.....

色々と忙しくしておりました。
特にこの1年で、「ビジネスと人権」にすっかり詳しくなってしまいました。

ちなみに。最後の更新の時に書いた内容も「ビジネスと人権について」でした。
その後の1年間で、この問題がどんな状況になったかと言えば.....

正直、我ながら「先見の明があったなー」などと感じております。自画自賛です。












実はこの問題、どんどんグローバル大きくなっています。
しかも、その影響が、確実に日本企業にも及んできています。


例を2つほどあげましょう。

① 昨年の11月に経団連が、「企業行動憲章」を改定しました。
この改定の目玉の一つが、「項目4:人権の尊重」の新設でした。
遂に、経団連も無視ができなくなってきた、ということです。
http://www.keidanren.or.jp/policy/cgcb/charter2017.html

② 昨年12月に放送された「ガイアの夜明け」が大変な反響を呼びました。











ここで取り上げられたのが、我が国の「技能実習制度」に潜む問題でした。
以前にここでも書きましたが、この制度の運用に対しては多くの問題が指摘されています。
今後、他のメディアもこの問題をさらに取り上げてくることでしょう。


では、この2つの事例から読み取れることは何でしょうか?

まず、世界からの「ビジネスと人権」に係る要求は益々高まってきています。
そして、その要求について、経団連も日本のメディアも無視ができなくなってきました。
日本の大手企業も今後、この要求に真摯に応えて行くことが強く求められるでしょう。

では、これが中小企業にどんな影響を及ぼすというのでしょうか?

業務委託先が行った人権侵害の責任は元請け側にもある、というのが今や世界の常識です。
ということは、今後大手企業から、人権に対する適切な対応を委託先は求められます。
言い換えれば、人権対応が出来ていない企業はいずれ契約を「切られる」ということです。


例えば、ある海外企業の事例です。
ここは、取引先の情報(会社名、所在地、従業員数など)を全て一般に開示しています。
















日本の大手企業も今後、こうした「透明化」の対応を求められます。
中小企業は生き残るために、こうした「近い将来」に今から備えておく必要があります。

では、中小企業は何をすればよいのでしょう?
この1年間に起こった出来事も含め、こうした辺りを次回以降で説明していきます。


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2016年12月3日土曜日

ビジネスに求められる現代奴隷への対応

前回、日本における外国人労働者の労働搾取の問題に対する海外の人権NGO/NPOの懸念について書きました。

企業のサプライチェーン上の労働問題は、現在、グローバルな課題として大きな注目を集めています。例えば英国では、「Modern Slavery Act(現代奴隷法)」が昨年策定されました。奴隷と聞いて、普通の日本人は恐らく、昔教科書で目にしたこんなイメージを思い浮かべることと思います。













そして思います。「はるか昔の話でしょ」と。しかし、強制労働や児童労働は、現代でも途上国を中心に存在しています。あるオーストラリアの人権団体が今年発表した報告書に基づけば、世界で「現代の奴隷」状態にある人の数は約4,600万人だそうです。そして、その2/3はアジア太平洋地域で抱えているとか。

この数字の信憑性は、正直私も分かりません。奴隷の定義自体、明確な訳でも無いと思いますので。しかし、奴隷状態にある方が今も世界中に多くいることは確かなようです。

さらに言えば、国連の推計では現在、世界中で約250万人が人身売買されているそうです。人身売買は一大ビジネスとなっており、ある推計では、その市場規模は全世界で年間数十億ドル規模、人身売買後の労働搾取による利益まで含めると300億ドル以上の規模にのぼるそうです。実際に、アメリカでも人身売買は大きな問題となっており、啓発・防止のためにこんなポスターも空港に貼られているそうです。


























ここで押さえておかなければならないことは、人権問題はいま世界中で大きな問題になっている、ということです。人権問題に対応する義務は国だけではなく、企業に対しても課され始めています。さらに企業は、自社内だけでなく、サプライチェーン上の人権問題への目配りも求められます。それが英国の「現代奴隷法」であり、米国カリフォルニア州の「サプラチェーン透明法」なのです。また、同様の法律がまもなくフランスでも制定されるようです。

人がいるところには必ず人権が存在します。人権問題への対応は、企業にとって、今後より高いレベルで求められることはあっても、その逆はないでしょう。つまり、企業にとって人権問題への対応は、「避けられない道」だということです。


では、これはグローバル企業だけに関係する話でしょうか?

直接的にはそうですが、間接的にはそうではありません。現在、多くのグローバル企業は、投資家やNGO/NPO、欧州の取引先などからの強いプレッシャーを受けています。人権への対応に係る調査票を受け取ったり、さらには潜入調査までされた企業も実際にあるようです。

先ほども書いた通り、グローバル企業は、自社のサプライチェーンにも適切な影響力を行使することを求められます。つまりは、取引先や下請け工場のしていることでも、もし何らかの公正でない事象があれば、それは彼らのブランドを大きく傷つけます。良くない情報は、SNS等を通じて一瞬で拡散されてしまいます。例えば昨年、電子機器に使用されるコバルトの購入を通じ、児童労働に関与しているとしてアップルやサムスンも非難を浴びました。
























グローバルに活動する大企業は今後、サプライチェーン上の人権に係る実態を調査し、事態を改善するために影響力を行使することを求められます。このことを中小企業は、十分に認識しておく必要があります。公正でない行動をとっている企業、行動を改めない企業は今後、重要な取引先を失っていくことでしょう。そしてこの風潮は今後、益々強くなることが確実です。

しかし、ここでこんなことを言う方もおられるでしょう。
それって海外の話でしょ?うちは日本で操業している企業だし、関係ないでしょ?

十分関係あります。先のオーストラリアの人権団体の調査では、日本は29万人の奴隷を抱えているとされています。堂々の25位にランクされています。何故でしょう?理由の一つは、今までこのブログでも書いてきていることです。そこはまた次回。


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2016年11月20日日曜日

東京オリンピックを控えていまそこにある未来

前回までに、事例をあげ、以下のロジックについて説明をしてきました。ここで再度整理をしておきます。

① 少子高齢化という課題には、日本が、他国に先んじて直面している。労働力の不足は表面化してきており、こうした事実は世界でも有名である。

② 日本における「外国人労働者の問題」は、既に世界でも注目を集めている。複数の媒体を通じ、技能実習制度の運用実態が「現代版の奴隷制度」として紹介されている。

③ オリンピックやワールドカップといったメガスポーツイベントでは、今迄も開催国や開催国のスポンサー企業が、NGOやNPOの攻撃にあってきた。特に最近の大会では、人権課題に焦点があてられている。そうした状況を受け、2014年に国際オリンピック委員会(IOC)は、開催都市契約に差別禁止条項を追加することも決定している。
International Olympic Committee (IOC) President Thomas Bach © 2014 Reuters













④ ワールドカップを控えたカタールの建設現場における労働者の死亡事故が、世界的にも注目を集めている。そうした背景もあるなか、既に労働力が不足している日本において開催される東京オリンピックで、建設業等の労働現場に問題が生じるのではないか、という危惧が世界でなされている。

⑤ 建設業を中心に人材不足に陥ることは明らかであり、そうした状況も受け、日本政府は外国人労働者の受け入れ拡大方針を打ち出した。

ここで補足です。例えば、リクルートワークス研究所さんの調査では、東京オリンピックに絡む建設業における人材ニーズは、33.5万人に達すると予想されています。
図表 東京2020オリンピックがもたらす産業別人材ニーズ
出典:http://www.recruit.jp/news_data/release/2014/0417_7550.html


















図表 産業別人材ニーズ時系列シミュレーション(単位:人)
http://www.recruit.jp/news_data/release/2014/0417_7550.html















一方で、建設業は重層下請構造や現場依存の不十分な人材育成体制などもあり、現在の時点で既に、構造的な人材不足に喘いでいると言われています。さらには、非合法に就労している外国人も既に、かなりの数流れ込んでいると言われています。












そうした状況で生じるさらなる人材ニーズに対応すべく、日本政府が外国人労働者受け入れ拡大方針を出した訳です。しかし、外国人の人材市場をいくらか拡大したところで、まずは16.7万人が不足するサービス業のほうに人が流れるのではないでしょうか?

そうなると建設業では何が起こるか?普通に考えて想定されるシナリオは以下のとおりです。
 (1) 非合法な人材調達手段により、人材を調達する。
 (2) 労働時間を拡大する(その分の手当が支払われるかは極めて怪しい)。
この2つが合わさると、既に存在する「外国人労働者の問題」の更なる深刻化、という未来図が浮かび上がってきます。

本来、こうした問題には政府がしっかりと対応すべきです。しかし、既に指摘されている技能実習制度の問題に対しても国は、監視という名目で役に立たない天下り先をさらに一つ増やしただけと言われています。正直、あまり期待出来ません。

⑥ こうした状況で海外の人権NGO/NPOは、日本における外国人労働者の搾取問題への懸念を益々強め、スポンサー企業を中心に監視の目を強めている。

こうしたロジックにより、人権NGO/NPOは既に活動を展開しています。日本の大企業(特にスポンサー企業)にとっては大きなリスクであり、人権課題への対応を急ぐ必要があります。

さらには、英国で昨年制定され、サプライチェーン上の強制労働や児童労働の問題に対応することを求めた「Modern Slavery Act 2015(英国現代奴隷法)」、さらには紛争鉱物に対する透明性を求めた米国の「ドット・フランク法」などにより、大企業は否応なく対応を求められてきています。
http://sustainablejapan.jp/quickesg/2015/11/11/forced-labor/19597















上記のような法律が適用されるのは、英国や米国で操業している大企業に限られます。しかし、こうした法律制定の動きは既に、世界中に広がってきています。つまりは、グローバルに活動する企業にはもはや「対応するしか道が無い」ということです。そして、そのためには、中小企業にも必然的に対応が求められます。その話はまた次回。

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2016年10月29日土曜日

日本の労働市場を巡るいまそこにある未来

前回までに、以下のことについて紹介してきました。

・メガスポーツイベントでは、開催国やスポンサー企業の人権侵害事例が攻撃を受ける。
・日本における海外からの技能実習生や留学生の労働実態が、世界で問題視されている。

今迄は、この2つの問題が結びつくことはありませんでした。しかし、これが2020年オリンピック・パラリンピック東京大会で結びつくこととなります。
https://tokyo2020.jp/jp/games/emblem/













我が国の労働力人口がどんどん減少していることは、世界でも有名な事実です。

15〜64歳の生産年齢人口(下図の黄緑色)は、2013年時点で8,000万人を切っており、2060年には4,418万人まで減少することが予想されています。

(出典)2010年までは国勢調査、2013年は人口推計12月1日確定値、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果






















既に、製造や小売りの現場では、外国人の労働者が多く働いています。政府は先進技術(ロボット等)の導入や女性の就労促進を大々的に喧伝していますが、実際に日本の現場を支えるのは外国人労働者になりつつある実態があります。

厚生労働省のデータでは、平成27年10月時点での外国人労働者数は、約91万人となっています。前年比15.3%増で、その数は年々増えています。また、これは事業主が届出を実施している人数なので、当然ながら、多くいると言われる不法滞在者はここには含まれていません。

前回紹介したように、この外国人労働者の労働実態の一部が、「現代版の奴隷制度」として海外で紹介されてしまいました。そこに先般、安倍政権が、外国人の「単純労働者」の受け入れ容認方針を示しました。ここで言う「単純労働者」とは、建設作業員などを想定しているようです。

ここで、最初の2つの問題が、海外の国際人権NGO/NPOの頭の中で、結びついてきます。


少子高齢化による労働力不足で、日本は外国人労働者を多く受け入れ始めている。

しかし、日本における外国人の労働実態の一部は、奴隷状態。

そこに東京オリンピック開催が決定し、建設現場等での労働需要が生じる。

必要性に駆られ、日本政府は外国人労働者の受け入れ拡大方針を決定。

日本における外国人労働者の搾取拡大を益々懸念。

こんなロジックになります。つまり、日本企業は既に、海外の人権NGO/NPOの厳しい監視にさらされ始めている、ということです。もちろん直接の攻撃の標的となるのは、日本政府、そしてスポンサー企業を主とした大企業です。しかし、その影響は中小企業にも及びます。その話はまた次回。


なお、前回前々回と、カタールW杯のスポンサー企業への攻撃事例を紹介しました。韓国の現代(ヒュンダイ)自動車も攻撃されているので、そのロゴも以下に紹介します。













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2016年10月22日土曜日

オリンピックを控え人権対応が注目される日本

オリンピックと難民の話から始め、

アジアの難民問題

人権とは、そもそも?

ビジネスと人権のつながり

人権問題で攻撃された日本企業

日本における外国人労働者の労働環境の問題

メガスポーツイベントと人権侵害

という流れで前回まで話をしてきました。メガスポーツイベントから話が始まり、メガスポーツイベントにまた戻ってきて、丁度一周した感じです。やはり、2020年東京オリンピック・パラリンピックは日本国と日本企業にとって大きなチャンスであると同時に、大きなリスクでもあるようです。

過去のオリンピックで発生した人権課題への攻撃事例は、前回紹介しました。少し前に終了したリオ・オリンピックは、人権的には大失敗の大会だったとされています。住人の強制退去、警察による殺人、デモの禁止、深刻な環境汚染(人の生活に影響を及ぼすため、環境汚染も立派な人権侵害です)等々。

警察による殺人を非難するデモ(MARIO TAMA/GETTY IMAGES)













従って、次に控える東京大会は、国際人権NGO/NPOからの高い注目を集めています。


さらに、注目を集める別の理由が、これも前回紹介した2022年のワールドカップのカタール大会です。カタールの建設現場は、W杯史上最悪の労働環境に陥っているとされており、出稼ぎ移民労働者の死亡事故が相次いでいます。既に1,200人以上が亡くなっているとのことですが、前回のブラジルW杯での労働者の犠牲者は10名だったことと比べてみると、カタールの異常な状況が良く分かります。

スポンサー企業であるSONYも攻撃されています











こうした背景もあり、国際人権NGO/NPOは、2020年東京大会における人権対応に注視しています。そして特に注視しているポイントの一つが、外国人労働者の労働環境となります。


これまた以前に紹介したとおり、海外(特に東南アジア)からの技能実習生や留学生の日本における一部の労働実態は、欧米では以前から問題視をされており、「現代版の奴隷制度だ」として紹介されています。

米国務省の『人身取引報告書』に掲載された日本の技能実習生たちの写真













多くの先進国でも状況は同じですが、自国の若者が就きたがらないような職業に、多くの外国人が就いている実態があります。このことは、海外の国際人権NGO/NPOは当然良く知っています。一方で、日本が少子高齢化により、今後労働力不足の状況に陥って行く事実は海外でもよく知られているところです。つまりは「日本は今後益々、労働力として外国人を受け入れていく必要がある」ということです。この点は避けられない事実であり、実際に安倍政権もその方針を示しています。

しかし、受け入れ拡大の方針は示したものの、現状の環境を改善しようという意気込みは、安倍政権にはあまり無さそうです。その理由の一つは、そもそも技能実習制度自体が官僚による搾取構造のうえに成り立っているからかもしれません。こうした状況に、人権NGO/NPOは危惧を抱いているようです。そして、その危惧を助長するものこそが、2020年東京大会を控えて始まる建設需要です。

       出典:www.jpnsport.go.jp











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2016年10月15日土曜日

メガスポーツイベントと人権侵害

前回、海外のNGO/NPOが、日本で働く外国人労働者の労働実態に注目している事実について書きました。そして、その背景にある理由の一つが、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会であることも。

オリンピックやサッカーのワールドカップのような、いわゆるメガスポーツイベントに際しては、世界からの注目を集めやすいことから、NGO/NPOが様々な人権課題を大々的に攻撃してきました。

【2004年 アテネオリンピック】
国際人権NGOが中心となり、途上国の生産委託工場の一部に劣悪な労働実態があるとして、スポンサーとなっていたスポーツメーカーと国際オリンピック委員会(IOC)を相手に、状況の改善を求める大々的キャンペーンを展開。













【2008年 北京オリンピック】
オリンピック誘致の際、「人権の改善」についてIOCに誓約していたにも係らず、その後も中国政府が民主主義活動家の逮捕や少数民族の弾圧、言論統制、ネット監視等を繰り返したことに対し、世界からの非難の声が集まる。

【2012年 ロンドンオリンピック】
1989年に発生したインドのボパール事件(化学工場史上最悪の事件であり、この事件を起こしたユニオン・カーバイト社は2000年にダウ・ケミカルによって買収)と関連しているという理由で、ダウケミカルに対しスポンサーから外れるべきとの批判が世界中から集まる。










【2016年 リオデジャネイロオリンピック】
治安の改善という言い訳のもとに警察の暴力がエスカレートし、オリンピック開催が決定してから警察や治安部隊に殺害された市民は2,500人以上。怪しいと思われた市民は、警告無く、突然撃ち殺されたとか。それに限らず、リオについては様々な悪い報道がなされた。


一方のワールドカップはどうでしょう?

そもそも90年代までプロの試合で使用されるサッカーボールのほとんどは、児童労働、強制労働のもとに作られていました。10年の南アフリカ大会では、FIFAからの求めに応じ、迅速な審理で大会中の犯罪に対処する「W杯特別法廷」が設立され、違法行為をしていない者までが身柄を拘束されました。さらに、南アフリカ大会でもブラジル大会でも、最貧層は住む権利さえ奪われました。

そして現在、最も問題視されているのが22年のカタール大会です。このスタジアムの建設工事では、既に1,200人以上が亡くなったと言われています。このペースで人が亡くなれば、62人の死亡のうえに1試合が成立する、という計算になるそうです。労働者は、IDやパスポートを雇用者に取り上げられ、酷暑のなか、水を飲むことさえ許されず、奴隷状態で働かされていると言われています。












この大会の協賛企業に対する攻撃は既に行われており、こんなロゴも出回っています。



































つまりは、2020年東京オリンピックも、こうした大きな流れのなかに晒される、ということです。

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2016年10月8日土曜日

海外が注視する日本における人権課題って?

ここ数回、以下の流れでビジネスと人権(Human Rights)のつながりについて説明してきました。
・前々前回は、欧米企業のグローバルな事業と人権のつながり
・前々回は、日本企業のグローバルな事業と人権のつながり
・前回は、日本企業の日本における事業と人権のつながり

そして特に日本における人権課題として、外国人労働者の問題をあげました。前回は、実際に富士重工業がグローバルに叩かれた事例も紹介しました。どうやらこの課題には、多くの海外の人権活動家が注目をしているようです。

数ヶ月前にあるセミナーに参加した際には、海外のNGOの方が、本課題について延々2時間も問題提起をされていました。さらに先月参加したある会議でも、人権に係っている海外有識者の方が口を揃えてこの課題を指摘されていました。











前回も書きましたが、彼らは外国人労働者の雇用自体は何も問題視していません。ただ、その労働環境を問題視しています。日本人と異なる差別的待遇をし、不当な搾取を行っている構図を問題視しています。例えば、彼らが指摘する「日本にいる外国人労働者を巡る問題」とは以下のようなものです。

・本国の送り出し機関による搾取(多額な借金)
・雇い主によるパスポートや通帳の保管
・給与の中間搾取(ピンハネ)や不払い
・違法な低賃金
・違法な長時間労働
・本国で聞いていた話と違う業種での就業
・国籍による差別的待遇
・寮費等の名目での不当に高額な搾取 等々

出典:http://ootori-roudou.com/











近年、ブラック企業の問題がマスコミを騒がせました。同様に、外国人労働者に対してもこうした問題は、確かに存在するようです。しかし、今までも、こうした問題を指摘する声は少なからずありました。何故、ここにきてこうした声が高まっているのでしょうか?

最大の理由は、恐らく2020年オリンピック・パラリンピック東京大会です。

そもそも、オリンピックやワールドカップなどのメガスポーツイベントでは近年、大会に係る人権問題に光があてられてきました。「メガスポーツイベントに関する人権侵害」の問題については、国連でも議論が進められています。

http://www.csonj.org/1511seminar.html










「外国人労働者の問題」が中小企業に及ぼす影響をみていく前に、過去のメガスポーツイベントを巡って巻き起こった流れについて、次回少し振り返りたいと思います。


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