2016年10月22日土曜日

オリンピックを控え人権対応が注目される日本

オリンピックと難民の話から始め、

アジアの難民問題

人権とは、そもそも?

ビジネスと人権のつながり

人権問題で攻撃された日本企業

日本における外国人労働者の労働環境の問題

メガスポーツイベントと人権侵害

という流れで前回まで話をしてきました。メガスポーツイベントから話が始まり、メガスポーツイベントにまた戻ってきて、丁度一周した感じです。やはり、2020年東京オリンピック・パラリンピックは日本国と日本企業にとって大きなチャンスであると同時に、大きなリスクでもあるようです。

過去のオリンピックで発生した人権課題への攻撃事例は、前回紹介しました。少し前に終了したリオ・オリンピックは、人権的には大失敗の大会だったとされています。住人の強制退去、警察による殺人、デモの禁止、深刻な環境汚染(人の生活に影響を及ぼすため、環境汚染も立派な人権侵害です)等々。

警察による殺人を非難するデモ(MARIO TAMA/GETTY IMAGES)













従って、次に控える東京大会は、国際人権NGO/NPOからの高い注目を集めています。


さらに、注目を集める別の理由が、これも前回紹介した2022年のワールドカップのカタール大会です。カタールの建設現場は、W杯史上最悪の労働環境に陥っているとされており、出稼ぎ移民労働者の死亡事故が相次いでいます。既に1,200人以上が亡くなっているとのことですが、前回のブラジルW杯での労働者の犠牲者は10名だったことと比べてみると、カタールの異常な状況が良く分かります。

スポンサー企業であるSONYも攻撃されています











こうした背景もあり、国際人権NGO/NPOは、2020年東京大会における人権対応に注視しています。そして特に注視しているポイントの一つが、外国人労働者の労働環境となります。


これまた以前に紹介したとおり、海外(特に東南アジア)からの技能実習生や留学生の日本における一部の労働実態は、欧米では以前から問題視をされており、「現代版の奴隷制度だ」として紹介されています。

米国務省の『人身取引報告書』に掲載された日本の技能実習生たちの写真













多くの先進国でも状況は同じですが、自国の若者が就きたがらないような職業に、多くの外国人が就いている実態があります。このことは、海外の国際人権NGO/NPOは当然良く知っています。一方で、日本が少子高齢化により、今後労働力不足の状況に陥って行く事実は海外でもよく知られているところです。つまりは「日本は今後益々、労働力として外国人を受け入れていく必要がある」ということです。この点は避けられない事実であり、実際に安倍政権もその方針を示しています。

しかし、受け入れ拡大の方針は示したものの、現状の環境を改善しようという意気込みは、安倍政権にはあまり無さそうです。その理由の一つは、そもそも技能実習制度自体が官僚による搾取構造のうえに成り立っているからかもしれません。こうした状況に、人権NGO/NPOは危惧を抱いているようです。そして、その危惧を助長するものこそが、2020年東京大会を控えて始まる建設需要です。

       出典:www.jpnsport.go.jp











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