2016年8月21日日曜日

3Dプリンターとカンボジア

前回までで、CSVの話に一段落をつけました。

「CSVとCSRとは別物」という論調が昨今盛んですが、いずれにしても私個人は、その論には与しません。CSRの定義は進化しています。進化形のCSRとCSVのロジックは、ほぼ同義だと考えています。それにも係らず「別物」とか言ってしまうが故に、社内は混乱し、経営者はCSRを昔ながらの枠にとどめて軽視してしまうのです。

現に日本の多くのビジネスマンはいまだに、CSR=「ボランティア」あるいは「寄付」と考えているようです。しかし、海外ではCSRよりも一般的に「Corporate Sustainability」という言葉を使い「Sustainability経営」を押し進めています。つまりは経営戦略として、本業を通じて社会課題の解決=社会の持続可能性に貢献しながら利益をあげ、同時に会社も持続していくことを経営トップ自らが明確に意思表明しているのです。

言葉遊びは止めましょう。社会課題と自社の経営とを結びつけ、そこから浮かぶ正と負の影響を冷静に分析したうえで、ともに持続していける戦略を模索していくことが、これからの企業には求められているのです。














確かに、利益をあげながら社会課題に貢献するということは、容易なことではありません。しかし、それを助ける一つのツールとして「新しい技術」があります。

例えば、3Dプリンターです。

今盛り上がっているオリンピックが終れば、パラリンピックが始まります。そこには義手や義足を付けた選手たちが登場します。この義足、物によりますが、数十万円〜百万円以上の価格がするようです。こんなコスト、先進国の人間であれば(国の補助もあるので)負担できても、途上国の貧しい人たちにはとても無理です。

例えば、カンボジアの子どもたち。

カンボジアでは、長引く内戦の間に政府軍とポル・ポト派が手当たり次第に地雷を埋めたため、内戦後も約600万個もの地雷が残ったと言われています。さらには、ベトナム戦争時の米空軍による爆撃の影響で、多数の不発弾も残っています。

結果、今でも年平均約800人もの人たちが地雷、もしくは不発弾で被災しています。特に危険なのは子どもたちです。通学路にも地雷はいっぱい埋まっています。遊んでいて被災する子どもも沢山います。どこに埋められているのか、把握できていないのです。

不発弾の処理












もちろん地雷除去の取組みは最重要です。しかし一方で、足を失ってしまった子どもたちに歩く喜びを与えてあげる必要もあります。その意味で、3Dプリンターは大きな可能性を持っています。皆さんもご存知のとおり、3Dプリンターを使うことにより、様々なものが格安で作れるようになってきています。義手や義足の製作も進んでいるようです(以下画像)。

出典 http://www.coroflot.com











http://news.rabbitalk.com/archives/1025868574.html

















これも物によりますが、シンプルなものであれば数百円の原材料費(+3Dプリンターの初期投資)で製作できるようです。これなら途上国で格安で販売することも可能です。より多くの人たちに歩く喜びを与えられます。一方で、これなら多少の利益を上乗せしても、格安で販売していけます。両者がSustainabilityとなり得ます。

AI(人工知能)やVR(仮想現実)に代表されるような新技術が、どんどん進歩しています。AIが仕事を奪うとの論調も盛んですが、むしろこれら技術の進歩が社会課題と企業経営との関係を良い方向に変え、社会の発展に貢献してくれると信じています。


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