では、「人権」とは一体何でしょうか?人権問題と中小企業の繋がりについて書く前に、まず「人権とは何か」について押さえておきたいと思います。
日本では、「人権=思いやり、配慮」といった解釈をする人が多いようです。会社勤めの方と話をすると、「人権=労働条件の問題やセクハラ、パワハラ」といったイメージを強く持たれているようです。しかし、世界に共通する「人権」の概念はもっともっと広いものです。
国際的な合意である「世界人権宣言(1948年採択)」では、人権を以下と定義づけています。
・人が生まれながらに持つ権利
・誰も奪い取れない権利
・普遍的な権利
(全文は、http://www.un.org/en/universal-declaration-human-rights/に掲載)
配慮ではなく、人権とはつまり「権利(human rights)」のことです。人が人らしく尊厳を持って生きていくための不可侵な権利です。そこには、国籍、性別、民族、人種、宗教、言語といったようなものは一切関係ありません。各国の法の上に、こうした要求は存在します。国が人権侵害を行っている例は、世界中にあります。しかし人権とは、国際的な要求として強く求められるものです。
最近の例で言えば、フィリピンがあります。ASEAN首脳会議での発言が物議を醸しているドゥテルテ大統領が就任してから約1ヶ月半が経ちました。彼が現在行っていることは、薬物犯罪に関わったとの疑いを持たれた市民を、その場で警察に射殺させることです。疑いがあるだけで、正当な手続きを一切経ることなく、既に何百人もの市民が殺害されています。ドゥテルテ大統領は国際社会の非難に対して「内政に干渉するな」と発言しています。しかし、これは人権の問題であり、国際社会として到底容認できるものではありません。
犠牲となった男性の葬儀で嘆き悲しむ親類の女性 ©NOEL CELIS/AFP/Getty Images |
先に述べた「世界人権宣言」では、20以上の様々な権利を「人権」として認めています。例えば「健康的な生活水準を保持する権利」「自由に移転及び居住する権利」「教育を受ける権利」「意見及び表現の自由に対する権利」等です。一方で、人権の概念や要求水準、世界で議論されている課題も常に深化しています。
以上が「人権」のごく簡単な説明です。
一方で、「人権」に対する責任を有するのは、これまで国家であると考えられてきました。しかし、先に述べたとおりに、国家が人権を侵害している例が多くあります。日本の隣国である中国にしろ、北朝鮮にしろ、そうです。また、国家をまたがる人権課題が多く発生してきています。さらには、財政問題等により国家の力自体もどんどん弱まってきています。
では、力を発揮すべきは、近年力を増している市民社会(NPOやNGO等)なのでしょうか?しかし、彼らにはまだ、そんな力はありません。前にこのブログでも書きましたが、彼らは富を生み出す存在ではありません。分配を行う存在です。従って、どうしても活動の規模や範囲、期間等に制約が伴います。
その結果、人権尊重における重要な存在として近年急速にクローズアップされてきているのが「企業」です。最近でこそ、グローバル企業を中心に、人権への意識が高まってきています。しかし、その過程では様々な「事件」もありました。人権問題と中小企業の繋がりを語る前に、そうした「事件(歴史)」についても次回、少し触れておきたいと思います。
ちなみに、本題と関係ありませんが、以前に当ブログで、国連で策定された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」について紹介しました。
http://social-value-consultant.blogspot.jp/2016/06/sdgs.html
http://social-value-consultant.blogspot.jp/2016/04/blog-post_17.html
この啓発を目的として「東京ガールズコレクション」とコラボした動画が現在、公開されています。興味のある方は、ご覧になってみて下さい。
↓↓↓↓↓気に入った記事があればクリックください。
↓↓↓↓↓たくさんのブログ記事が集まっています。
0 件のコメント:
コメントを投稿