2016年9月17日土曜日

ビジネスと人権って関係あるの?

前回、「人権って何だっけ?」という話をしました。
さらに企業が、人権尊重に対する存在感の発揮を求められていることも書きました。

・財政的に疲弊している国家の力は、益々弱まっています
・国家自体が、そもそも人権を侵害している例があります
・企業のサプライチェーンは、もはや国という枠を跨いでいます
・SNSが発達して市民の力も増大し、自社の商品やサービスに係る評判はすぐに広まります

等々。こうした背景もあり、グローバルな大企業を中心に、人権尊重への意識は確実に高まってきています。しかしその裏には、企業側の「苦い経験」があったことも事実です。


例えば、有名な例でいえば「NIKE」です。

1997年に、NIKEが委託するインドネシアやベトナム等の工場において、低賃金労働や児童労働、強制労働が発覚しました。NGOの批判に対してNIKEは当初真摯に対応しなかったため、世界的な不買運動が起こりました。

ロイター通信社














日本ではほとんど報道されませんでしたが、この事件は、グローバルな「ビジネスと人権」の潮目を変えた極めて重要な事件です。下請けによる侵害については委託元にも責任あり、と社会は普通に認識したのです。

ついでに言えば、このときの不買運動で経営的に苦境に陥ったNIKEを救ったものこそ、当時空前のNIKEブームに沸き能天気にNIKEのシューズを爆買いしていた日本の消費者だった、とも言われています.....


もう一つ、グローバルな潮目を変えたと言われる事件が、2013年にバングラデシュの首都ダッカで発生したビル崩落事故です。この事故は、死者1,100名、負傷者2,500名の大惨事でした。













この事故が何故、大企業と関係があるのでしょうか?実は、被害を受けた労働者の多くが働いていたのが、ベネトン等のグローバル・アパレル企業の下請け縫製工場だったからです。下請け業者は、違法な増築を繰り返し、壁の亀裂に係る従業員の再三の指摘も無視していました。

この悲惨な事故により、グローバルなサプライチェーン上での人権侵害に対する大企業(委託元)側の責任について、改めて注目が集まりました。つまり、先進国の多くの大企業は途上国の貧しい労働者を不当に搾取している、という構図が広まりました。


ビジネスと人権のつながりについては、少し理解頂けたかと思います。
でも、「こうした事件は海外企業の話でしょ?日本企業には関係ないでしょ?」
きっと、そう思われる方も多いと思います。

しかし、日本企業も他人事ではありません。むしろ、2020東京オリンピック・パラリンピックを控え、「日本と人権」は、世界でも最注目のテーマとなってきています。このことは明らかですし、政府も十分に認識をしています(ただ、認識をしているだけで、全く具体的には動いていないようですが...)。

「人権問題と中小企業にどんな繋がりがあるのか?」の話の前に、欧米企業ではなく、日本の大企業が叩かれた昨今の事例についても、次回少し紹介したいと思います。












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