2015年12月24日木曜日

夢を与えてくれる会社

昨日の続きですが、私個人的にもファンな海外の企業を2社紹介します。

まず一つ目は、Whole Foods Market。アメリカのスーパーです。「地域社会と環境に注意を払い、」「ナチュラルでオーガニックな製品を販売することにこだわり、」「それで顧客に満足を提供し、」「健康を増進させる」ことを価値観(Core Values)としています。

私もホノルルに行った際に、ここで買物をしましたが、「買物って楽しい!」と心の底から思えました。とにかく、山のように置いてある商品も、陳列の仕方も、魅力的。買った魚介類なども、お店のなかで食べることができます。ここのコアなファンの方は、実に多いそうです。



















そしてもう1社は、カナダの航空会社West Jetです。ここのmissionも実にシンプル。"To enrich the lives of everyone in WestJet's world"。要は、全ての人の人生を豊かにする、ということです。そのために、この会社は度々、信じられないような取組みをします。これこそまさに、クリスマスにこそ紹介すべき同社の取組みです。

https://www.youtube.com/watch?v=zIEIvi2MuEk







彼らが何をやったのか?
① クリスマスのトロント空港とハミルトン空港。カルガリー行きの便の搭乗口近くに、サンタクロースとのネット会話ボックスを設置。便を待つ乗客は、端末に航空券をスキャンすることで、サンタと会話ができるようになっている。
② 「クリスマスに欲しい物は何?」と聞かれ、大人も子どももそれに楽しみながら答える。そのあと、便はカルガリーに向けて出発する。
③ 便が到着するまでの間に、カルガリーにいるウエストジェットのスタッフは大奔走。なんと、乗客の「欲しい物リスト」を全て買い揃えるために!
④ スタッフは、買い揃えたプレゼントをラッピングし、箱に一人ひとりの乗客の名前と「サンタより」の一言を書く。
⑤ カルガリーに到着後、乗客たちが手荷物を待っていると、プレゼントがコンベアベルトに載せて運ばれてくる。
是非、動画を一度観られてください。

会社としてこれをやれることに対し、「単純にすごい!」と思いました。きっと幼い子どもたちは、サンタクロースを信じたのではないでしょうか?

一過性ではなく、この会社、他にもこんなことを度々しているようです。こんな「夢」や「豊かさ」を与えるために、スタッフが全力で汗をかいてくれる会社だったら。そりゃファンになっちゃいますね。

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2015年12月23日水曜日

どんな社会を創りたいか

前回、株式会社日建さんを紹介しましたが、他にも個人的に気になっている会社を数社。

まずは、石坂産業株式会社さん。
http://ishizaka-group.co.jp/

埼玉県に本社を置く産業廃棄物のリサイクル業者です。かつて地域の嫌われ者だった会社だそうですが、「ごみにしない技術を追求し、産業廃棄物を資源化する」「日本をよりよい循環社会に変えていく」とのビジョンを掲げ、変わりました。

同社は「ごみにしない技術」を追求し、その行動も一貫しています。地域のコミュニティクラブを自ら運営し、地域のために交流プラザまでオープンさせ、地域との関係構築のために徹底的に努力しています。

次は、伊那食品工業株式会社さん。
http://www.kantenpp.co.jp/corpinfo/index2.html

長野県に本社を置くこちらの会社は「年輪経営」を掲げられており、ご存知な方もいらっしゃるかと思います。同社は敢えて成長の数値目標を置いていません。目標はズバリ、「いい会社」になること。そのために地域との交流も積極的にはかっています。同社の経営姿勢は、HPの経営理念のページに掲げている二宮尊徳翁の言葉に良く表れています。

「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」
「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」

最後は、株式会社松永牧場さん。
http://www.matunaga-gyu.com/

島根県にあるこちらの牧場は「子どもに安心して食べさせられる牛肉を創る」というシンプルな理念のもとに、約7,000頭もの牛を飼育されています。実際に、内閣総理大臣賞をはじめ数々の賞を受賞されていることから品質は折り紙つき。地域とのコミュニケーションという点では、大人気イベントの牛肉祭を毎年運営されており、今年はなんと2,500人以上が来場されたそうです。

日建さんも含めたこれらの企業はいずれも「社会からどう見られたいか」、さらには「どんな社会を創りたいか」という視点を重視し、ある意味でとがった経営をされています。そして、その強烈な推進力となっているのが"経営者の想い"です。

スター精密さんや小湊鐵道さん等々、他にも注目している企業は多くあります。やはり日本の中小企業は素晴らしい!!でも、海外にも面白い企業はあります。次回は、個人的に注目している海外企業を少しだけ紹介します。

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2015年12月20日日曜日

地雷除去に挑む会社

社格の高い企業になるために、必要なサイクルとは?
前回も書きましたが、私の考えは以下のとおりです。

① 社会視点のビジョンを掲げて共感を集める
② 一貫した行動(商品やサービス等々)を示すことで信頼を得る
③ 社会(地域)とオープンな関係(情報開示、対話等)を築いて一体感を育む
④ ①〜③のサイクルを恒常的にまわしていくことでファンを作る

これ、簡単なようですが、経験上見ていて、結構難しいです。良く見られるパターンは、
・ビジョンが極めて曖昧で、現場の判断軸にならない。
・数年で替わる雇われ社長が、売上と利益ばかりを求める。
・組織が縦割りで、ビジョンなんておかまいなく、バラバラに商品やCMを世に出す。
・社員が社内の狭い世界に生きており、社会から自社がどう見られるかなんて考えない。
・やったらやりっぱなし。そもそも自分たちの行動を見直すことなどしない。
等々。これ、実際に私が見てきたパターンばかりです。

では、一方で「社格」という観点から私が最近注目している企業を、いくつか紹介します。まずは、株式会社日建さん。ここはストレートに「復興、社会貢献、国際貢献」を事業目標に掲げられており、事業(本業)の一つとして、途上国での地雷除去に取り組んでいます。
http://www.nikkenmfg.com/mine/index.html

世界にはまだ1億個を超す地雷が埋まっていると言われており、いまも罪の無い多くの人たちがその被害にあっています。そうした状況のなか、カンボジアでおばあさんに「助けてください」と懇願されたことを機に、採算度外視で地雷除去機の開発に取り組み始めたのが同社。その後、活動を継続させていくためには儲けが必要と考え、いまでは事業として地雷除去に取組んでいます。世界中で既に100台以上の除去機を販売しているとか。

まだこの事業単体では利益をあげられていないようですが、この活動の副次効果として、他の事業の取引に、好影響を及ぼしているようです。さらに何よりも、良い人材を採用することにおいて同社は困ったことが無いとか。多くの中小企業にとって、うらやましい限りかと思います。

同社は「社会の声に応え」「明確なビジョンを掲げ」「そこからぶれない活動を展開」されています。だからこそ、社会から愛され、いまや同社は無くてはならない存在と認識されているのだと思います。しかし、そこに大きな影響を与えているのは、何よりも経営者の強い想いです。特に中小企業においては、経営者が、社会視点の明確なビジョンを持っているかどうかということが、その企業の立ち位置を決めます。

こうした観点も踏まえ、次回、他の注目会社も紹介します。

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2015年12月14日月曜日

社格の高い企業になるためのサイクル

ここでまた話が戻りましたね。

「いまも我が社は社会に貢献しとる!」と、きっと社長さんたちは言われるでしょう。しかし、私が言っているのは「この会社が無いと困る!」と社会(地域)から思われるレベルの「社格」の高い企業の話しです。

地域密着である中小企業は、やり方次第で「社格」の高い企業になれる可能性があります。そして、そこに掛けるパワーは、大手企業より少なくてすむと考えています(とは言っても、大変ですが....)。

私が考える、そのために必要なサイクルは以下のとおりです。
① 社会視点のビジョンを掲げて共感を集める
② 一貫した行動(商品やサービス等々)を示すことで信頼を得る
③ 社会(地域)とオープンな関係(情報開示、対話等)を築いて一体感を育む
④ ①〜③のサイクルを恒常的にまわしていくことでファンを作る

文字にすると簡単ですが、これ結構大変です。ビジョンと行動が合致していないと、むしろ叩かれます。オープンな関係を築くということは、もちろん厳しい意見もいっぱい聞くことになります。真摯に、徹底し、継続して対応していくという強い意思がなければ、このサイクルは回せません。

また、陰徳の文化が根付く日本では、よく社長さんが「「こんなに社会に貢献してる!」などと言いふらすのはいかがなものか?」とおっしゃいます。が、よく海外では「comply or explain」と言います。これは「ルールに従え(comply)、従わないのであればその理由を説明せよ(explain)」の意味です。法令や規則ではなく(これらは従うのが当たり前なので)、これはいわゆるソフトローに対して用いられます。

要は海外では「説明していない=何もしていない」、むしろ「説明していない=説明できないやましいことを何かしている」とまで解釈されるそうです。つまり「説明していない=社会に何も貢献していないどころか、社会に害をなしているのではないか?」と理解されることもあるということです。グローバル社会と言われる現代においては、陰徳とか言っとる場合ではありません。

上のサイクルをまわすことには、大きなメリットが3つあります。
① 社会からの信頼が向上し、企業ブランドが向上する。
② 社会に貢献していることで社員が自社に誇りを持ち、モチベーションが高まる。
③ ②により、売上もアップする。さらに①により、利益率もアップする。

多くの中小企業に、こんなメリットを享受できる循環を築いて欲しいと考えます。
そんな観点で、私がいま注目している企業もいくつかあります。が、それはまた次回。

ビジョン達成までの道のりは遠いです











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2015年12月10日木曜日

どんな社会を作りますか?

はてさて、前回の続き。

何故私は、中小企業こそ「社格」の高い企業になれる可能性が高い、と考えているのでしょうか?

今や大企業となった企業も、当然ながら創業時代がありました。そして、こうした企業の創業時の理念は、今見ても感動を覚える大変崇高なものです。

例えば日清食品さんであれば、「食足世平(食が足りてこそ世の中が平和になる)」「食創為世(世の中のために食を創造する」)。戦後の厳しい時代が背景にあることを考えると、真に心に響く理念です。

住友商事さんであれば、有名な「自利利他公私一如」。これは「住友の事業は、自身を利するとともに、国家を利し、社会を利するほどの事業でなければならない」とするものです。お客様を利することは当然ですので、まさに「三方良し」の考えです。

しかし、こうした「社会のために」という理念を継続して社として体現していくことは、容易なことではありません。特に、図体がデカくなればなるほど(もちろんデカくても、それがしっかりと出来ている企業もあるにはありますが)。

理由はいくつかありますが、まずは株主からの圧力。最近は、いわゆるSRI(社会的責任投資)やESG投資(環境、社会、企業統治に配慮している会社を評価、選別して行う投資)の額も相当な規模ですが、まだまだ利益を求める株主の圧力が強い。例えば各社のAnnual Reportを眺めていても、そもそも「自分たちは社会のなかで何のために存在するのか」「自分たちはどんな社会を作りたいのか」などには一言も触れず、ただひたすら「ここにお金を投資します」「いくら儲けます」をうたっている企業さんが多い。「目的」がなく、ただ「手段」と「結果」を語る。すごく違和感を感じます。

他にも、社員が入れ替わり、さらに社員数がどんどん増え、理念の浸透が物理的に出来なくなる。組織間が縦割りで、理念よりも、部署の利害が重視される。数年で交替する雇われ社長が、十年百年単位の社会価値よりも、自分の任期の間の業績を重視する。そうなると当然、社会からのニーズ自体を聞く姿勢が、会社のなかで薄くなる。等々、大企業が創業理念を忘れていく理由はいくつも思いつきます。

一方で、中小企業であればどうか。全てが逆になります。社長が株式の多くを保有していれば、他の株主の顔色を伺うことなく、十年百年単位の夢を語れます。社員数も組織の数も少なければ、理念を浸透させることもより容易になります。地域密着なので、社会(地域)の声もその気になればいくらでも入ってきます。もちろん「社長がどんな理念を持っているか」に左右されることは確かなので、最初に「可能性」と表現してはいますが...。

「社会に貢献する余裕なんて無いよ!」という声も良く耳にします。確かに中小企業の多くにとって、「付加的に」何か貢献しろ、というのは厳しいでしょう。しかし、私が言っているのは「本業を通じて貢献する」「貢献しながらビジネスをする」話です。

ということで、また次回。

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2015年12月6日日曜日

何故に社会価値か?

中小企業診断士になって、早6年以上経ちました。

かつては、「経営戦略」や「マーケティング」「人材戦略」などにもっぱら関心がありましたが、徐々に興味の対象も変わってきました。

「コーポレート・ブランディング」や「CSV」「CSR」「健康経営」「人権」などが、最近の主な関心対象です。要は、「競合にどう勝つか」「お客様にどう売るか」から、「社会にどんな価値を提供するか」ということに、関心が移ってきたということです。社会に高い価値を提供し、信頼を得ている「社格」の高い企業であれば、必然的に、長期的な存続確率も高いはずです。

こういう話をするとよく、「どこの会社も社会に価値を提供している!」と言われてしまいます。確かにそのことは否定しませんが、しかし代替が効くような価値しか提供できていなければ、それは「社格」の高い企業とは言えないと思います。高潔なDNAを保持しながら、変化する社会の課題を的確に捉え、自社の強みにより唯一無二の価値を提供し続け、その貢献の成果として自社の経済価値も享受する。「この会社がないと困る!」と社会が考える。そういう会社こそが「社格」の高い会社だと考えます。

そして、中小企業やオーナー企業こそ、実はそういう「社格」の高い会社になれる可能性が高いと考えています。そこらへんは、おいおいまた語っていきます。

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