2016年7月16日土曜日

CSV(Creating Shared Value)って何なの?(その⑤)

引き続き「CSVって何の事?」っちゅう話です。

繰り返しますが、CSVとは、
『企業がその本業を通じ、社会課題に貢献しながらしっかりと経済的利益も得て、社会価値と経済価値を共創する』
ことであり、
『自社を差別化して収益を最大化するための、競争のための経営戦略』
のことです。

前回は、ポーター教授が何故CSVの目的を『利益の最大化』とするのか、その理由について社会側の視点から整理してみました。つまりは、社会課題の解決のためには現実問題として時間と資金が必要だ、ということです。

では一方で、CSVに取り組む企業側のメリットは何でしょうか?いくつか考えられます。

まず大きいのは、
『社会課題への貢献を掲げることが、企業活動の大義名分となり、顧客をひきつけるストーリーとなって、自社のファンをつくる』
ということです。

例えば、企業の成長戦略と社会課題の融合について効果的な情報発信をしている例が、世界最大級の消費材メーカーであるユ二リーバです。
https://www.unilever.co.jp/sustainable-living/

彼らは「ユ二リーバ・サステナブル・リビング・プラン」として、「環境負荷を減らし、社会に貢献しながら、ビジネスを成長させる」というビジョンを明確に掲げています。「社会課題への貢献で自社の成長も加速させる」と明確にうたっています。

Unileverホームページより











Webページを見て頂ければよく分かりますが、彼らは具体的な実績まで細かく開示しています。こうした透明性は、企業の本気度を社会に対して伝えるとともに、企業に対する信頼感の醸成にもつながります。つまりは「ファンをつくる」ということです。ファンのいる企業は強いです。

このプランに基づき、彼らは例えば
・「インドの農村部における女性の自立支援」と「未開拓な市場へのアクセス」
・「生態系破壊を抑止するパーム油の調達」と「認証規準策定による調達の優位性獲得」
といった困難な両立に取り組んでいます。

一方で、こうした活動の大前提には、自社事業目的の位置づけの大きな変革が必要となります。ユ二リーバは、元は「石鹸屋」です。しかし、現在の彼らの事業の目的は「石鹸を売ること」ではなく、「人々の暮らしを豊かにする」ことです。

こうした自社の事業目的の変革は、他社でもみられます。例えば、
・ネスレは「食品」ではなく、いまや「栄養」を販売している。
・ナイキは「靴」ではなく、いまや「健康」を販売している。
こうした例は他にもあります。そしてこうした変革は、ファンの数を大きく拡大します。

「自社が販売している商品とは、一体何なのか?」
「自社の事業目的とは、一体何なのか?」

こうした問いに対し、先入観を取り除いたまっさらな頭で、かつ社会視点で改めて考えてみる必要が、いまやあらゆる企業にあるのではないでしょうか?

改めてじっくり考えてみましょう













長くなってしまいました。続きは次回。


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